サステナビリティ・サービス会社 PT PROJECT TREE INDONESIA の設立について

伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠」)は、このたび、新たなサステナビリティ・サービス会社である PT PROJECT TREE INDONESIA(本社:インドネシア・ジャカルタ、President Director:渡部 亮一、以下「PTI」)を設立し、2025年6月より事業を開始したことをお知らせいたします。今後、伊藤忠はPTIを通じて、天然ゴムの持続可能性向上を目指す「PROJECT TREE」*1 の取り組みを引き続き支援し、業界全体のサステナビリティ強化に貢献してまいります。

天然ゴムは現代社会に不可欠な天然資源です。世界の天然ゴム消費量の約70%はタイヤの生産に用いられ、また世界の生産量の約85%は小規模農家に依存しています。タイやインドネシアを含む東南アジアは、主要な生産地域として際立っています。小規模農家の既存の農業経営慣行は、違法伐採、人権問題、専門知識の不足、その他の懸念に関連する課題を含め、いくつかの限界に直面しています。欧州では、**欧州森林破壊防止規則(EUDR)**の導入により、業界のサステナビリティへの取り組みの緊急性が高まっています。2025年12月30日の施行以降、EUに天然ゴムおよびタイヤ製品を輸入する企業は、自社製品が森林破壊に貢献していないことを証明することが求められ、環境および人権コンプライアンスの遵守がこれまで以上に重要になります。

伊藤忠は、天然ゴム加工子会社のPT. Aneka Bumi Pratama(本社:インドネシア・南スマトラ、President Director:林 亮太郎、以下「ABP」)と協働し、天然ゴム産業における環境および社会課題への対応を速やかに開始しました。2019年に、トレーサビリティシステム構築のため、ブロックチェーン技術を用いた実証実験を立ち上げました。このシステムは2021年に「PROJECT TREE」として事業化されました。ABPは既に、EUDRの要件に準拠したゴムの安定供給体制を確立しています。「PROJECT TREE」はまた、インセンティブに基づく報奨制度を実施し、農業研修プログラムを提供することで、小規模農家を支援しています。過去4年間で、本取り組みは、農業慣行の向上を目的とした農業研修プログラムを約23,000名の農家に提供してきました。「PROJECT TREE」への参加は毎年拡大し続けており、現在ではタイヤメーカー、輸入車ディーラー、バス会社などがその支持者や協力者に加わっています。

これまで「PROJECT TREE」はABPを通じて推進されてきました。しかし、PTIの設立により、本取り組みはABPのサプライチェーンを超えて他の天然ゴム加工会社を含むように拡大し、業界全体でより幅広いサステナビリティの取り組みを可能にします。PTIは、取り組みを主導する専門家を育成し、EUDRに準拠したゴムの利用をさらに促進し、天然ゴム産業全体のサステナビリティに向けた進捗を牽引していきます。

伊藤忠は、新たな経営方針「「ブランド・ニュー・ディール」~利益機会は川下へシフトする~」を掲げ、「『市場』『社会』『消費者』を含むあらゆるステークホルダーの声に耳を傾けながら、事業活動を通じてSDGsへの貢献と関与を強化していく」という方針を追求しています。

Launching PT PROJECT TREE INDONESIA, a Sustainability Service Company
image1. PROJECT TREEのコンセプト
Launching PT PROJECT TREE INDONESIA, a Sustainability Service Company
image2. プランテーションの地図